― 桃山陶の美 ― (第1展示室)
今から400 年程前に誕生した桃山陶。それは当時京や大坂、堺といった都市を中心に広まった茶の湯の流行を背景に誕生し、それまでの日本のやきものにはなかった創意あふれる茶陶として注目されました。桃山陶の生産は全国の窯場で行われ、それぞれに特徴を持った茶陶が生産されました。それらには意匠構成に共通点があることから、地域を超えて共通の造形意識が存在した可能性を示唆します。これは、16 世紀末から17 世紀前葉に、茶の湯文化が強い求心力を持ち、生産と流通の新しい関係を築いていたからだと考えられます。本展では黄瀬戸、志野、織部といった美濃桃山陶をはじめ、唐津、伊賀など他窯の桃山陶もあわせて紹介します。400 年の時を経ても創意あふれる造形美で私たちを魅了してやまない桃山陶の美しさに触れて頂けたら幸いです。
― 美濃桃山陶の技 ― (第2展示室)
織部黒や黒織部茶碗にみられる「歪み」、そして、黄瀬戸、瀬戸黒、志野、織部にみられる豊かな「色彩表現」、これらが美濃桃山陶の特徴といえます。
この「歪み」と「色彩」を表現すべく、美濃の陶工たちは、それまでになかった多種多様な製作技法を取り入れました。轆轤成形後にヘラ削りや歪ませる工程を加えて造り出された沓形碗、タタラ型打ちにより生まれた鳴海織部、焼成中に窯から引き出すことにより表現された瀬戸黒など・・・・。ここでは、桃山陶の多彩な表現を求め、陶工たちがどのような技を取り入れたのか、成形、装飾、釉薬、窯詰めという4つの視点から紹介します。