近年、大規模な縄文展が開催されるなど、縄文時代への関心が高まっています。これまで、土岐市での発掘事例は多くありませんでしたが、2015年に市内妻木町の妻木平遺跡において、縄文時代中期の竪穴住居跡1軒が発掘されました。本展は、初出展となる妻木平遺跡に加えて、東美濃地方各地の縄文時代の出土品により、当地方の縄文時代の特色をご紹介する展覧会です。
日本列島において約1万年間続いた縄文時代ですが、大規模な遺跡が発達した東日本と遺跡の密度が薄い西日本と、東西日本で文化的に大きな差があったといわれています。日本列島の中央に位置し、東西の接点に当たる岐阜県は双方の文化の影響がみられ、それが最も顕著にみられるのは縄文土器の文様や器形です。
他地域の影響がみられる要因としては、人々がヒスイや黒曜石など産地が限定される石材、あるいは塩などを求め、地域間での交流、交易があったといわれ、東美濃の縄文遺跡からも長野県産黒曜石や新潟県産ヒスイでできた石器や装身具が出土しています。
本展では、遠隔地からの影響がみられる土器に加えて、石器、石製装身具、土偶などの出土品も併せて展示し、東美濃地方の縄文時代の暮らしをご紹介します。
左上から
深鉢形土器 落合五郎遺跡出土(中津川市教育委員会蔵)/台付深鉢形土器 宮之脇遺跡B地点出土(可児市蔵)/深鉢形土器 久須田遺跡出土(中津川市教育委員会蔵)/鉢形土器 妻木平遺跡出土(土岐市美濃陶磁歴史館蔵)/香炉形土器 宮之脇遺跡B地点出土(可児市蔵)/石鏃 大草遺跡出土(土岐市美濃陶磁歴史館)/石製装飾品 落合五郎遺跡・久須田遺跡出土(中津川市教育委員会蔵)/土偶 中村遺跡出土(中津川市教育委員会蔵)/丹塗り土器片 落合五郎遺跡出土(中津川市教育委員会蔵)