開館から40年を越えた土岐市美濃陶磁歴史館は当地のやきものである美濃焼を中心に数多くのコレクションを収蔵してきました。その礎となるものに初代土岐市長を務めた二宮安徳のコレクションがあります。二宮安徳は土岐地方事務所の所長として昭和の町村合併促進法に伴う土岐市の発足に尽力し、地元民に求められ昭和30年(1955)に初代土岐市長に就任した人物です。産業、教育、医療、福祉さまざまな分野にそのまなざしを向け、就任から5期20年ものあいだ土岐市のゆくえを指し示してきました。そのかたわら、文化芸術にも強い関心の目を向け、陶芸家の濱田庄司や古陶磁研究家の小山冨士夫をはじめとした文化人や政治家、実業家など幅広い人との交流を通して多くの作品を蒐集しました。昭和48年(1973)、市長退任を控えた二宮は土岐市への恩返しとして、また、文化の醸成・発展への強い思いを託して長年にわたり蒐集したこれらのコレクションの一切を市に寄贈しました。
本展では、二宮コレクションの中から土岐市や岐阜県に由来を持つ陶芸家や画家、特に交友の深かった文化人たちの作品を中心に二宮安徳の文化芸術への思いを振り返ります。
“私のいままで苦心して収蔵したものの一切を土岐市へ全部寄贈したいと思う――私の真の念願は将来県下に誇る博物館の建設である――文化不毛の地であってはならない。私の貧しい一灯がせめてもこの機運を醸すきっかけとなったらと念じている” (「市長の手帖」より抜粋)
※左上より 昭和42年(写真左から2人目より佐久間藤太郎、二宮安徳、濱田庄司)、白釉黒格子掛大鉢(濱田庄司)、種子島茶碗(小山冨士夫)、鐵砂角瓶(佐久間藤太郎)、白磁花瓶(バーナード・リーチ)、赤楽茶碗(日根野作三)、壺の図(バーナード・リーチ)、閑徹(棟方志功)、無一物(小山冨士夫)、美濃路の秋(海音寺潮五郎)、ガールドノード(村上肥出夫)、踊子の図(田中比左良)、竹(坂井範一)、二宮(左)と濱田(右)、出光美術館にて(左から小山冨士夫、濱田庄司、二宮安徳)、土岐にて(左から荒川豊蔵、濱田庄司、二宮安徳)、土岐市記念館開館
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【出品予定作家】
安藤知山、伊勢崎満、浦上善次、大木惇夫、海音寺潮五郎、加藤栄三、加藤舜陶、加藤東一、加藤延三、加藤土師萌、金城次郎、小山冨士夫、坂井範一、坂高麗左衛門(11世)、佐久間藤太郎、島岡達三、田中比左良、塚本快示、坪内節太郎、永江陶六、中里太郎右衛門(13代)、中島正雄、バーナード・リーチ、濱田庄司、日根野作三、三浦小平二、水野柳人、棟方志功、村上肥出夫 (五十音順)